東北大学 大学院情報科学研究科 情報基礎科学専攻 計算機構論分野
(東北大学 工学部 電気情報物理工学科 情報工学コース)
青木・伊藤(康)研究室

研究紹介/ データ科学とは?

はじめに

「データ科学」という言葉をよく耳にするようになりました.データから知見を得るために,科学的な手法を用いてデータを処理したり,解析したりする学際的な分野の総称です.最近では,機械学習などを用いて膨大なデータを処理したり,解析したり,予測したりすることを指すことが多いです.データ科学の研究は,データがあればできるのでしょうか? もちろん,そんなことはなく,データに対していろいろ考えなければなりません.医用画像処理でも紹介している脳MRI画像から年齢を推定する研究を例として,どのように大規模なデータから研究をしたのかを解説します.

大規模データセット

東北大学加齢医学研究所にいらした福田寛先生(東北大学名誉教授・東北医科薬科大学教授)から1,000人を超える健常者の脳画像を解析してもらいたいという依頼がありました.「情報科学の観点から何か新しい研究ができるのではないか」ということでしたが,その当時は脳画像についての知識もなく,図1のように「脳の画像」がたくさんあるだけで,何を研究すべきかもわからないところからの研究開始でした.

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図 1:大量の脳画像

データを知る

当たり前ですが,何も知らないとはじまりません.どういうデータであるかを調べるところからはじめました.脳画像は,核磁気共鳴画像法 (Magnetic Resonance Imaging: MRI) で脳を撮像した画像でした.

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図 2:CTで撮像された脳画像(左)とMRIで撮像された脳画像(右)

大量のデータを理解する

改めて,データを確認してみましょう.いただいたデータは,東北大学加齢医学研究所が青葉脳画像リサーチセンタープロジェクトおよび鶴ヶ谷プロジェクトで収集した脳MRI画像です.20歳~80歳の1,101名から撮像したT1強調画像で構成されています.

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図 3:東北大学加齢医学研究所が青葉脳画像リサーチセンタープロジェクトおよび鶴ヶ谷プロジェクトで収集した脳MRI画像の年齢と性別の分布
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図 4:加齢による脳組織の体積変化と年齢による脳形態の違い

データから問題を考える

ここまでの説明で想像できると思いますが,「正常加齢でも脳組織が萎縮することを利用して,入力された脳MRI画像の年齢を推定する」という問題を考えました.

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図 5:機械学習を用いた年齢推定のアプローチ

脳局所特徴量を用いた手法

典型的な機械学習のフレームワークを用いた手法です.各局所領域において計算される灰白質,白質,脳脊髄液の体積を特徴量として使用します.この手法の年齢推定の誤差は約4歳でした.

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図 6:SPM を用いた脳局所特徴量の抽出

畳み込みニューラルネットワークを用いた手法

最近の機械学習のフレームワークを用いた手法です.3D CNNを用いた手法では,推定誤差が約3歳まで低下しました.

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図 7:3D CNNを用いた年齢推定ネットワーク

まとめ

「膨大なデータがあったら研究ができるか?」・・・できます.ただし,どういうデータであるかを調べる必要があります.データを知り,理解することがすごく重要です.本内容の一部は医用画像処理の研究とも重なる部分がありますので,そちらも参照して下さい.