東北大学 大学院情報科学研究科 情報基礎科学専攻 計算機構論分野
(東北大学 工学部 電気情報物理工学科 情報工学コース)
青木・伊藤(康)研究室

研究紹介/ バイオインフォマティクス

はじめに

本研究室では,主に画像処理の研究をしていますが,画像処理以外の研究も行っています.その1つがバイオインフォマティクスの研究です.バイオインフォマティクスとは,生命科学と情報科学の融合分野です.ゲノム解析などが有名です.その中に,アプタマーと呼ばれる人工核酸を設計する研究があります.アプタマーは,特定のタンパク質に結合する塩基配列であり,その特性を利用してバイオ医薬品や分子センシングなどに応用されます.ここでは,膨大な核酸配列の中からアプタマーを探し出す研究について説明します.

アプタマー

アプタマーとは,人工的に作成された核酸塩基配列であり,特定のタンパク質に結合するように設計されます.

HT-SELEXによるアプタマーの選別

特定の標的分子に結合する塩基配列は未知であるため,大量の核酸の中から化学実験により見つけ出すしかありません.一般的にはSystematic Evolution of Ligands by EXponential enrichment (SELEX) と呼ばれる方法が用いられています.最近では,次世代シーケンシング (Next-Generation Sequencing:NGS) と組み合わせた HT-SELEXが用いられています.HT-SELEXの6ステップは以下の通りです.

  1. ランダムに初期化された核酸分子からなる初期ライブラリの合成する.
  2. 標的分子を混ぜて核酸分子と結合させる
  3. 結合しなかった核酸分子を洗浄し,結合した核酸分子のみを残す.
  4. 結合した核酸分子から標的分子を溶出する.
  5. ポリメラーゼ連鎖反応 (Polymerase Chain Reaction: PCR) により溶出された核酸分子を増幅させる.
  6. 次世代シーケンサにより配列データを読み取る.
2~5を1ラウンドとして,8ラウンド程度繰り返すことによってアプタマーを選別することができます.ただし,1ラウンドに約1日ほどの時間がかかるだけではなく,$10^6\sim 10^7$個のシーケンスデータからアプタマーを見つけ出す必要があります.

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図 1:HT-SELEXによるアプタマーの選別

配列データのクラスタリング

HT-SELEXで得られた大量のシーケンスデータからアプタマーを見つけるためには,全データに対して実験的に評価する必要があります.費用と時間の面から非現実的です.そこで,標的分子との親和性が高い配列を計算機にて見つけ出すことができれば,費用と時間を大幅に節約することができます.本研究室では,アプタマーの選別を支援するためのクラスタリング手法を提案しています.詳細は,文献 [1] を参照してください.

まとめ

簡単ではありますが,本研究室で取り組んでいるバイオインフォマティクスの研究について紹介しました.NECソリューションイノベータ株式会社バイオラボと共同で研究を進めています.

参考文献

  1. FSBC: Fast String-Based Clustering for HT-SELEX Data